「改正動物愛護法」の数値規制に関する意見

2021年6月、改正動物愛護法が施行
このままだと13万頭を超える犬や猫が行き場を失うことにも!
数値規制の再考と現実的な移行期間を環境省に希求します

動物を守る法律の改正で、犬猫が行き場を失う??

私たちにとって、最も身近な動物であるワンちゃん・ネコちゃん。動物愛護管理法が改正され、犬猫の健康と福祉の向上を目指し、動物取扱業者の飼養管理に対し「ケージ等のサイズ」、「飼育頭数」、「出産の回数や年齢」等の数値基準が導入されることをご存知でしょうか。
このうち、動物取扱業者の施設で暮らす犬や猫について、スタッフ一人当たり繁殖犬15頭・繁殖猫25頭とする基準案が、波紋を呼んでいます。来年の6月1日に法律が施行されると、基準を超えた犬や猫は、現在の施設に住み続けることができなくなります。その頭数は、全国で13万頭にものぼります。
そのため犬の繁殖業者の3割以上が廃業を考え、さらに犬や猫に携わる多くの人々の営みにも重大な影響を及ぼすことが危惧されます。

7月に示された基準案に対し実施した緊急アンケートの結果はこちら

法律から省令へ

国会で成立した法律の細部については、担当省庁が省令として定めます。動物愛護管理法は、昨年6月に議員立法として改正され、現在、環境省では動物取扱業者による適正な犬猫の飼養管理を目的に、数値基準等の検討を進めていますが、今回は有志の国会議員(以下「超党派議連」)によってとりまとめられた要望書による数値基準が、省令案に多く採用されています。
この要望書が現実と乖離したものであり、結果として、行き場を失う犬や猫13万頭以上や犬の繁殖業者の3割以上が廃業を検討する事態の原因となっています。

※犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟(会長:尾辻秀久):第一種動物取扱業者における犬猫の飼養管理基準に関する要望書,  2020年4月3日.

そもそも適正な飼育頭数とは?

本年4月に提出された超党派議連の要望書は、各種団体からの要望や海外の法規制などを参考に作成されたものですが、そもそも飼育頭数に関する基準を設けている国は、それほど多くありません。また世界を見渡すとアメリカでは1人につき50−75頭、ドイツは10頭と、かなり開きがあります。度重なる法改正で、日本のブリーダーは事業者に位置づけられ、増えた業務や費用負担に対応するため、規模拡大と専業化が進みました。大型犬が多くホビー目的の小規模ブリーダーが大多数を占めるドイツ基準を、法規制や産業実態が全く異なる日本に導入すれば、繁殖施設で暮らす非常に多くの犬猫が行き場を失う危機に直面することは容易に想像できます。動物の福祉向上を目指しつつ、現実に起こりうる危機にも目を向けていただけるよう、超党派議連や環境省に対し、いくどとなく情報提供を続けてきましたが、残念ながら、ご理解をいただくことはできず、今日に至っております。
この事態を改善すべく、協議会は下記の要望書を環境省へ提出いたしました。

 

【要望書の要旨】

行き場を失う犬猫の救済支援
●事業者やボランティア団体の協力で事前に準備できる受入先には限界があり、行政施設の利用や関連施設の確保について支援をいただきたい。
●官民協力しても十分な受入先が確保できない場合、状況改善に必要な猶予期間を設けることも検討いただきたい(6歳で引退する繁殖犬の譲渡を進めるだけでも、毎年2.5万頭を減らすことも考慮に入れる)。

改善意欲のある事業者への支援
●施設の改修、雇用の拡大等を支援する施策(予算措置を含め)を検討いただきたい。
●監視指導の強化による厳罰化だけでなく、省令の最終案で脱落した「優良な事業者の上限緩和」等の事業者の改善意欲を奨励する施策を復活いただきたい。これは法改正に合わせ基本指針に追加された事業者の主体的な取組を促進する施策[令和2年環境省告示第53号 第2 2(5)②ウ] にそうものと考えます。

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行き場を失う13万頭超への対応は簡単ではありませんが、法律で求められる終生飼養に向け、業界は次の準備を進めてまいります。① 事業者は、基準を超えた繁殖犬は引退させ、愛玩目的で飼い続ける(事業を存続できることが前提となるが)。② 余力のない事業者を支援できるよう、業界団体は一時的な受入先の確保。③ 繁殖が6歳までに制限されることを受け、毎年引退する2.5万頭に対し、長い余生を一般家庭でもすごせるよう、訓練と譲渡を促進するプログラムを構築。

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日本の社会で犬が減るということ

今回の法改正で、直接影響を受けるのは動物取扱業ですが、犬に関連する市場はフード、用品、獣医療、美容、訓練、ホテルなど合わせて1.2兆円となります。10数万頭の繁殖犬が行き場を失うと、国内で供給される子犬の頭数も半減します。現在、飼育中の犬が寿命を迎える10年後には、年間6,000億円の市場が失われ、関連する仕事に就く27万人の雇用と、その家族68万人の生活に影響が及びます。“小学生の女子がなりたいもの”という調査で、例年上位にくる「ペット屋さん」は、この先、どうなってしまうのでしょうか?
犬の頭数が、近年、減り続けていることが報道されていますが、日本は先進国の中でも、すでに人口あたりの犬の頭数はかなり低いレベルにあります(日本に比べドイツは1.6倍、フランスは1.5倍、イギリスは1.9倍)。動物との暮らしと人の健康の関係については、近年、盛んに研究が行われています。研究成果が明らかになるのは、もう少し、先のことかもしれませんが、犬が減ることについては経済の面だけでなく、人間として暮らし方、そのものに関係していることも忘れてはいけないと考えます。

10月7日の動物愛護部会で示された基準案に対するパブリックコメントの募集は11月17日に締め切られました。

 

<お問い合わせ先>
犬猫適正飼養推進協議会/一般社団法人 ペットパーク流通協会 広報事務局
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